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執筆者の写真Furuya Hirotoshi

ライブレコーディングに、RME Digiface Danteを本格導入

ライブレコーディング RME Digiface Date

複雑化するライフレコーディングに対応するために、大掛かりな機材の導入を行ってきました。これは通常当スタジオで請け負っている、クラシックのホールレコーディングでも役立つ機材たちで、ライブレコーディングの機材とクラシックレコーディングにおける機材の差というものが縮まってきたことをも意味しています。

というのは、以前から使用していた Marian AudioのSeraphを用いたMADIのルーティングにかなう音質というのは、Mergingのオーディオインターフェイスでも不可能だと思っていました。Marian AudioのSeraphが設計から15年くらい、MergingのHorusが10年ほどと、双方に384kHzのレコーディングを可能とするシステムを作ってきてはいますが、流石に年数からくるテクノロジーの遅れというものを感じさせる部分もあります。しかし、音質に関しては抜群のアドバンテージを誇っていました。

しかし、今回のRMEはUSB3.0接続で、しかもDante規格であってもMarianのMADI規格と同等の音質を実現してきました。このままこの機材をクラシックレコーディングに用いることができるほどに上質な音像を描いてきており、遂にDDコンバーターがUSB接続でも十分に機能してくることを証明できたと言えるでしょう。つい一年ほど前までは、USBはやはりPCIeにかなう音質を実現できないという実感があり、USB3.0(5G)であってもPCIe40Gの伝送量に到底及ばないので、当然音質も落ちるという認識でした。しかし、ハイレゾである384khzやDSDの伝送量も、Mergingはイーサネットを用いることで、1Gの伝送量でやり取りをしていることを考えると、USB3.0でも十分な音質確保が可能であると理屈上は思えます。それでも音質は良くなかった・・・特にUSB3.0を用いていたMADIfaceの導入に至れなかったのは、抜群の安定度はあったとしても音質が最上と思えるものとはかけ離れていたからです。RME特有のハイゲインな音質ゆえに、音像がタイトになってしまうことで、詳細な描写は苦手というイメージを持ち合わせてしまいました。MADIfaceにはPCIeのエクステンションコネクターがついていましたので、PCIeで鳴らすとやはりそれなり・・・という結果でした。

しかしこれを最初に覆してきたのがMUTECのMC-3USB+で、2.0接続のワードクロックと同居するDDコンバーターは、上手くチューニングされたチップから、圧倒的な高音質を実現していました。マスタリングでは、MUTEC経由でDDコンバージョンして、そこから幾つかあるDAコンバーターに伝送するという手法も取ったことがありました。

そして、今回のDigiface Dante・・・まさに力作だと思います。使いやすさもさることながら、その音像のきめ細かさと輪郭ある描写のうまさというのは、Marianに迫る勢いです。そしてMergingより良いかな・・・

USBという、至って一般的な規格で、ここまでの音質を実現してきたRMEは大きなアドバンテージを取ったと言えるでしょう。

そしてここまで膨大なテストを繰り返し、機材の選定を行ってきたレコーディングは、一味も二味も異なることでしょう。

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