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  • 2019年8月18日
  • 読了時間: 1分

この夏に手掛けています楽曲制作ですが、続々と完成の目途が立ってきました。恐らく来週中くらいには、クラシックピアノ曲がリリースされ、更にはこちらで着々と制作を続けてきたジョン・キャペックの演奏するピアノ曲を近日中にリリースできるかと思います。ジョン・キャペックは、ここのブログでも再三書いてきた通り、ダイアナ・ロスやロッド・スチュアート、ジョー・コッカー、オリビエ・ニュートンジョンなどの楽曲を作曲してきた巨匠中の巨匠で、彼が実際に引いたファイルが当スタジオにあり、そのファイル自体は当方の権利下にあることから、実際にリリースしようという流れになりました。

昨日は、サンクトペテルブルグからストリングス・オーケストラの音源が到着し、益々その魅力を増している楽曲故に、皆様にお聴きいただくのが本当に楽しみです。様々に方向性が決まりましたら、発表させて頂きます。

今日も充実したレコーディングを楽しむことが出来ましたが、当スタジオが最も強みを発揮する一つとして所有しているのが、SPL Cresceondです。150dBものサウンドをキャプチャーできる器というものは、聴いたことがないほどのクリーンサウンドとダイナミックレンジを感じることが出来ます。何をもって史上最強とするのか・・・という議論は様々な余地があるかと思いますが、最も新しい考え方且つ、最新の哲学が産んだサウンドという意味からすれば、このマイクプリアンプにかなうサウンドというものはあと3年ほどは無いのではないかと思います。実際にバリバリのオペラ歌手のレコーディングというものを、経験したことがありますでしょうか?ドラムのキックなど可愛く感じるほどの声量を発しており、そのダイナミックレンジというものは途轍もありません。

数値を図ったことはありませんが、2000人級のホールでノンマイクで観客席の隅々まで歌声を響かせるわけですから、そう扱いやすい音量ではないか事は想像に難しくないかと思います。特に最近のトレンドというのが、クラシックでもかなりクローズなサウンドを生み出しており、リアルという意味で言うのであればポップスやロックと変わらない作り込みをするという傾向があります。しかし、ドラムのキックが可愛く思えるほどの音量とダイナミックレンジを至近距離で豊かに録ろうとすれば、それは実際的な話として不可能という結果が導き出されます。実際にSSLのマイクプリアンプや、NEVEといったスタンダードでは全く良い結果を出すことはできずに、正直なところ手を焼いていたという所がありました。

全て問題をクリアしてくれたCrescendoという表現もできますが、それ以上に再考に美しいサウンドをキャプチャーしてくれるという表現の方が正しいかもしれません。残念ながら国内未発表の機材で、こうした世界のトレンドに対していち早く反応する多くの人たちが出てくると良いな・・・とも感じています。


最近は正に世界中のアーティストと歩んだ3カ月と言えるかと思います。ニューヨークとロンドンにこの間出向いて、コミュニケーションを円滑にしながら様々な楽曲を手掛けてきました。クラシックの王道を行く曲からクロスオーバーの楽曲、ギターヒーローを彷彿とさせる楽曲から現代の総合アートをモチーフとした非常にアーティスティック性溢れる楽曲など、月の限界値とも言える曲数をこなしてきました。その一つ一つが世界とのリレーションで出来上がっている楽曲故に、クォリティも最高品質で仕上げる必要があるため、毎日会うアーティストたちとは毎時間・毎分真剣勝負ですから、物凄い消耗ではありましたが非常に充実しており、尚且つ最高品質の音源を制作し続けられている喜びに満ちています。

そして昨日発表になったAntihoneyのAdagioは、自分にとっても非常に印象深い一曲となりました。当初はモード系の楽曲として制作されていたのですが、サンクトペテルブルグで制作中のアルバム中初めてストリングス・オーケストラを用いたのがこの楽曲でした。今や絶対に欠くことの出来ないストリングス・オーケストラのチームを率いるマリアは、バークリー音大のサマースクールで出会った逸材です。僕はボストンの校舎で学び、彼女はヨーロッパ側・バレンシアで学んでいました。双方既にプロ活動はしていましたが、本格的な商業音楽を学ぶために大学へ通っているという共通点から話が合い、仕事を共にするようになりました。

彼女のストリングスセクションを纏める力はすさまじく、並びにバイオリンの腕前も超一流です。こうした楽曲を国内で制作しているという事実を作りたかった僕としては、一つの大きなハードルを越えたという感覚を持っています。やはり楽曲の構成から音質まで何もかもが欧米にはかなわないとする事実を、幕張メッセからほどないところにあるスタジオが世界と対等に競争し、世界のチャートで戦う姿というものを印象付ける意味は大きいと思っています。自分たちの才覚や技術、感性を見返ることなくケーブルや下らない論理を幾ら立てたところで、実際問題世界で戦うまでに至っていない歴然たる事実が立ちはだかっているわけです。これはもう、いかんともしがたい事実で、それを覆すには世界と対等に音源を制作できる実績しか語るすべはありません。変な形でミステリアスな部分を作るのではなく、誰もが感嘆するような実績を生み続ける努力というものが、最も意味のある活動ではないかと思っています。

それを一歩づつ進めている実感というものを、確実に感じることができたのも今作ということになるかと思います。

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