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  • 執筆者の写真Furuya Hirotoshi

グローバルの一員として

ヨーロッパから帰ってきてから、時差ボケを含めて体調を戻すことと、その間も世界各国からのアクセスの量に翻弄されています。日韓ワールドカップのミキシングを担当したホルガーが、自ら作った真空管EQを導入することになり、その交渉を進めると共に、そもそも売ったことのないワンオフ物ということで、作ってみてからパーツ代が決まるという、何ともインディーズ感溢れるEQですが、物凄く楽しみな一作であることに違いありません。世界の中でも最も多くの機材を所有する部類に入る当スタジオでは、既に機材は満杯の状態ではあるのですが、それでも聞いたこともないような機材が世界中からプレゼンテーションされてきます。プロトタイプの開発もその中には含まれており、実際に素晴らしかったもの、そうでなかったものを率直に回答していく仕事も担っています。アクセスは圧倒的にヨーロッパが多いのですが、未だに『こういう機材もあったのか』というメーカーからのアクセスがあり、またそれが何とも魅力的なものであることも多々あります。

世界の中で徐々に地位を上げ、今日に至るわけですが、現在のポジションまで来ると正に世界中からアクセスを頂くようになります。それは単に仕事という内容だけではなく、機材の考え方や本来の使い方、そしてこちらが参加した楽曲の仕上げ方など、エンドーサーとして回答しなくてはいけない内容は山ほどあります。アメリカやヨーロッパの国々のエンジニアやプロデューサーが、当スタジオで施したマスタリングやミキシングを解析し、どの機材がどのように使われているのかを詳細にわたって聞いてきます。

例えばこのバンドのギターリストでプロデューサーのArvid Löwensteinは、以前当方の参加作品を詳細に解析して、クリスタルトーンと感じることのできた音色を再現しようとしたとのことでした。この規模のバンドが、当スタジオの音色をコピーしてくれようとしたのは正に嬉しいことですし、欧米のスタジオと対等に競争を繰り広げるに相応しい一例だと感じています。

今まで国内の音楽産業は、あくまで欧米を追いかけるという姿勢に終始していましたが、このように日本発で世界の舞台で対等な形で新しい音の価値を作り上げ、そしてヨーロッパ・アメリカ側から追いかけられるような立場で、スタジオワークをこなす会社もあるということは産業全体を考えるときには、非常に重要であると感じています。特に20代の年若い皆さんの間では、素直に当スタジオの存在というものを知ってもらうことが出来、頻繁に利用して頂くことが増えています。

グローバルの一員としてのスタジオワークは、確かに何もかもが異次元です。感性、技術力、才能、想像力、センス、知能、芸術性とありとあらゆるものの能力を持ち合わせた人たちが、青天井で待ち受けています。でも、国内で感じるような閉塞感や限定的な考えは存在しなく、兎に角全力投球で開放的な世界で楽しむこともできます。そんな音の世界、音楽の世界を紹介したいと常に願っています。冒頭に書きました日韓ワールドカップのミキシングを担当したホルガーとも、普通にパートナーの家に遊びにいった折、彼が待ち受けていて一緒に食事をしてビールを飲んだ仲です。数十億人に音を届けた人から、直接話を聞くこともそう難しいことではありません。耳を信用され、感性についてリスペクトをされれば、そこには無限に広がる可能性が待ち受けています。それがグローバルであり、世界規模と言えるでしょう。

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