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  • 執筆者の写真Furuya Hirotoshi

世界最先端技術と、その自負が生み出す力

世界最先端の音を目指し、世界と激しく競争することで見えてくる景色

ドイツSPL社が発表した、150dBものレンジを持つ新世代のマイクプリアンプ。SPL社のエンドーサーとして、昨年本国に訪れた際、提案した機材が製品化された一例。

世界と激しく競争するとは、何を指すでしょうか? 国際公式エンドーサーだから、最先端なのでしょうか?若しくはスタジオ機材が、一応の体裁を保っていれば最先端の部類として競争していると言えるでしょうか? 決してそんな事はありません。世界で生み出される音の価値というものは、ものすごいスピードで更新されます。事実、この文面を書いている私自身が、去年と今年とでは別人とも言えるような視野を持ち合わせています。去年は既に、公式エンドーサーでしたし、1年後に発表される機材や考え方というものは、各メーカーから既に聞かされていました。そしてその新たな試みと、価値観というものは直ぐに自らの仕事にフィードバックされ、構築された自らの新たな精神性とともに作り上げられる音へと変換されます。こうした世界の舞台の第一線で築き上げられる哲学というものは、ただ見ているだけ、若しくは見上げているだけでは決して手に入るようなものではありません。 自らが積極的にリスクを取って発言し、何らかの新しい情報や考え方を提供しない限り、ある一定のレベルまでには達しないため、価値ある人材として世界から認められることはありません。常に自らが掲げるものは、世界をリードする音作りを目指すべきであり、その視野が世界から認められたときには、新たな価値創造を可能とさせます。 この循環を生み出すには、先ずは才能が最も重要と言えるでしょう。音を感じ取る力、音を創造する力、音を進化させる力、そして世界と渡り合える健全な闘争心も必要と言えるでしょう。これまで日本には存在もしなかった考え方、或いは世界も驚くほどの想像力で、あらゆる組み合わせを作り上げることで、既存の価値を遥かに超えた音作りも可能と言えるでしょう。 この循環を生み出すのは、最高レベルで求められる音の価値観であり、当方側の高い志とともに更なる高みを目指すクライアントたちの孤高の精神が更なる新たな価値創造と音を生み出します。 このスタンスで世界の舞台で常に活動するとしましょう。アビー・ロードもスターリングも、メトロポリスもライバルとなります。世界中のアーティストたちは、最高の音を求めて世界中のスタジオやプロデューサー、エンジニアを振るいにかけます。何を持って、世界最先端の音を作っていると言えるのか?何を持ってして、世界のライバルたちと戦うのか? 新参者であるならば、それ相応の作戦というものがあります。一例として先に述べた著名スタジオたちは、老舗や昔からの王者ということで、新たに生み出される価値というものを苦手とします。長い歴史や成功例から保守的になり、どうしても次世代へと素直に移行することは難しいと言えるでしょう。こと音という分野においては、その傾向が強い状況にあり、特に英語圏は世界のエンターテイメントを牽引している故に、重い腰を上げるまでに相当な時間がかかっています。ですのでイギリスはまだしも、アメリカの音というものは一定のアーティストやエンジニアたちの間では時代遅れとも言える音を作り続けていると言われています。 昨今旧譜であっても、配信が主流となりえる昨今の音楽業界では、リマスタリングを施した楽曲が増えてきています。これはフィジカルが存在しないが故の自由度とも言え、それ故の利便性を制作者側が謳歌しているとも言えるでしょう。実際聴く側の立場からしても、圧倒的に期待感というものを持ち合わせますし、制作側としては何時でも更新が可能なため、一定のフレッシュなサウンドというものを提供し続けられる自由度にも満ちた可能性あふれるソリューションと言えるでしょう。

SPLのマイクプリアンプとともに選出したのが、Braunerのマイクロフォン。正に新世代の組み合わせといえ、双方にデュッセルドルフに所在するところが面白い。

ですので、私達は固定概念を如何に捨てるかを重要視しています。 『マイクならば、Numann。』 こうした考え方は危険です。実際にNumannは昨今、ドイツ国内のレコーディングでは見受けられなくなりました。しかし、アメリカでは相変わらずの勢力として地位を築いています。それは何故か? それは英語圏特有の音作りに起因します。イギリスのアビー・ロードスタジオのメンテナンスを手がけているTomも、数年間の付き合いの中に様々な提案を受けました。SSLのXL-DESKは彼から購入しましたが、その他のマイクプリアンプ、マイク、スピーカーなどは、その殆どがドイツを始めとした中央ヨーロッパやロシアで生み出されるような、リアルかつスーパークリーンなサウンドと言うよりも、重く少し鈍いような音を作る機材を提案してきていました。SSLが最新機種を発表してくる折にも、良い意味での80.90年代の音ではなく、進化しきれていない時期での80.90年代を指すような音でプロモーションのPVを制作しています。


敢えて、ビンテージサンドを作っていると思われるPV

機材の開発を見ていてもそうなのですが、英語圏は新世代、次世代を目指すというよりは昔作られたものからインスパイアされたクローン、或いはビンテージに大凡の方向性が向いています。つまりはメーカーそのものが、新たなものを作り出そうという考え方を持っていないことを伺わせます。それ故に、英米の国が作り出す音というものには新しい哲学というものが感じられなく、必然的に英語圏外のヨーロッパへと目が行きます。そしてドイツを中心とした中央ヨーロッパ勢を観察していると、伝統ある歴史観をベースとしながらも真新しい哲学を創出してきます。そのアウトプットされた音の価値観は世界を席巻し、英米を巻き込みながら世界のトレンドを作るという重責を担ってもいます。 ここで音の勢力についての構図を説明してきましたが、最新鋭側に舵を切っている国々の国際公式エンドーサーという立場であれば、当然そのプロモーションから開発までを考えなければならない立場になります。しかもそれが考え出すのではなく、自然に頭の中で新しい価値創造を閃くことが出来なければ、世界のトレンドをリードするところまでは行かないでしょう。 Facebookで毎日・毎時間更新される、世界からの真新しい情報は、私達を激しく刺激し、最新の哲学を持つ音の創造へと誘います。そして世界をリードする音作りと哲学は、世界中のクライアントたちへ提供されることは勿論、社内の人間、またアシスタントやクライアントたちへも伝達され、それぞれ皆の間で思想を共有することで、自然に情熱が自負へと生まれ変わります。この自負が向上心を更に生み出し、その向上心は常に最先端で居続けることを可能とします。 そしてその自負と向上心は作り出す音へと変換され、継続的に世界からの受注を可能とする仕組みを生み出しています。


最先端の音の哲学を持ち合わせるSPL Iron

この無二の感性と思想、そして哲学こそが当社の強味であるとともに、エンターテイメントの中心である英米への後追いの姿勢を排除することで、非常に気難しいヨーロッパ勢とのリレーションシップを可能としてきました。また、私達の新たな価値を生み出す力は、世界中から注目を集め常に精錬されたダイナミックな活動を可能とする原動力にもなっています。 世界の舞台で激しく競争し、時には勝ち時には負けます。その真剣勝負こそが私達の闘争心を揺さぶり、如何にして最先端の感性を構築し世界をリードするかを考え抜く切っ掛けともなっています。


公式エンドーサーとして深い関係にあるポーランドのBettermaker-Mastering EQは、現段階では最も進んだ考え方を持つEQであろう。パラメトリックとPlutecが共存し、セクションごとにM/Sも可能。

何処までも純粋に音を追求し続け、そして気が付けば世界から次は何をやるのかを期待される立場になった昨今、私達のアイディアは尽きることがありません。それは『この音』という高い理想像がはっきりと見えており、その理想に少しでも近づくことを念頭に置き日々激しい競争を戦っています。この競争に勝利するとき、私達の自負は確固たる確信へと進化を遂げてきました。 この素晴らしき景色を楽しみながら、また明日から始まる新たな競争に胸を膨らませ、新たなるアイディアと新世代の音を生み出しています。 そして最先端の更なる先を走り、国際公式エンドーサーの中でもエースとして地位を確固たるものにするため、日夜新たな価値創造に奮闘しています。

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