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  • 執筆者の写真Furuya Hirotoshi

世界最先端から見える、日本の楽曲制作。その根本原因を探る。

世界最先端のマスタリング・スタジオ

世界の舞台で競争する、最先端のマスタリングスタジオが日本にもある。


昨今ノーベル賞において、毎年受賞者を日本から排出することで、その地位というものを世界的に示していますが、その一方では多くの課題を残しているとも言われています。それは未来型における日本の姿に陰りを見るというもので、主に国立大学における運営費の削減により研究への投資ができないというものです。それにより、明るい未来を想像できない若者たちからは敬遠され、それと平行する形で優れた論文の創出も難しいと言われています。

一方音楽の分野で、日本はどのような地位を世界で得てきたでしょうか?世界という目線に立つと、一気に国内の音楽市場の厳しさを露呈する形とはならないでしょうか?ベルリン・フィルの定期演奏会に、ゲストとしての常連は日本人でいるのか?世界的に通用するプロデューサーやエンジニアは、本当に日本から排出されたのか?これらの目線に立つと、本当に厳しい現状が浮き彫りになるのではないでしょうか?確かに日本は世界第2位の音楽市場を持ち、一見すると強国のように思えますが、それでは日本の音楽は世界で消費されているのか?という視点に立ったとき、これに対しての明確な回答を出すというものは恐らくは出来ないでしょう。

それは科学の分野でノーベル賞があるように、世界各国にあるアワードを一体どれほどの日本人が獲るのかを想像すれば難しくありません。

これらを列挙すれば、日本の音楽市場は国内消費を可能とするシステムは構築されていても、海外で通用する楽曲制作というものに関しては、明らかに後進国と言えるでしょう。それは筆者自身が2018年の5月から8月のたった3ヶ月間の間に経験した、非常にアグレッシブな欧米の商業音楽に携わったことで、余計に浮き彫りとなる結果となりました。それはドイツから依頼されたマスタリングでヨーロッパチャートで7位を獲得し、更にはその楽曲でアワードを獲ることが出来、尚且その流れでワールドカップの公式曲も担当したという経験から、そのアグレッシブな動きとともに求められるクォリティの高さから実感したものです。

ではどうして世界に日本の音楽市場は通用しないのか?

私が感じるに先ず第一に職業で音楽に携わる人々が、相対的な形で”音”そのものを理解できている人が極めて少ないことにあるのではないかと思います。世間一般的には、

『洋楽の音とJ-POPの音』

が常日頃論じられており、その”違い”自体は老若男女誰もが簡単に理解することが出来ています。しかしそれを実践する側、つまりはエンジニアやプロデューサーが立体的な形でグローバルスタンダードの音を理解し、その上で音そのものを世界基準に準拠させるという経緯を経ることが出来ていない事実は、明らかにその理解不足が生み出している結果ではないかと感じています。

例えば各国から送られてくる音源は、ドバイからであろうとアフリカであろうと、または東南アジア・・・例えばミャンマーからの音源であっても、その全てにおいてグローバルスタンダードが明らかに存在しており、ほぼすべての楽曲が準拠している音質に入っています。しかし、日本のみが不思議な事にグローバルから大きく外れ、何か違う方向性を持ってガラパゴスの状況にて進化を続け、現在に至っています。そして国内の楽曲が海外での消費に耐えうるだけのクォリティを持っているかということになると、それは各国のチャートを賑わせることはほぼ無いわけですから、結果は明確に現れています。

そうなるのであれば、市場の拡大ということも考慮する折には、このグローバル・スタンダードを認識し楽曲の制作が行われるべきであり、グローバル・スタンダードを知る人物がキーマンとして活躍する必要が出てきます。

一体日本の音楽市場に、グローバル・スタンダードを意識して楽曲を制作している人物は居るのでしょうか?この部分こそが、今まで論じられてこなかった違和感であり、ここを理解しなければ決して解決のはかれない問題でもあると感じています。

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