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執筆者の写真Furuya Hirotoshi

SPL社 PasseqのM/Sモード

毎日新しい発見というものはあるのですが、同時に視点が変化するということは多々あります。特に機材が一流になればなるほど、奥が深いがゆえにこちら側の裁量が試されることも多いと感じています。というのは、対象機材に対して固定概念を一度作ってしまうと、サウンドを作り上げるそのプロセスに一定の価値しか注ぎ込めなく、可能性を失わせてしまうということが多々あります。なので、『自分はこれで完成』と思うこととは無縁で、常に激しい変化というものに対してリベラルな姿勢で臨みたいと思っています。世界ではこれほどに激しくトレンドが動くわけですから、トップメーカーの国際エンドーサーともなれば、応用力の塊のような人でないと務められないことは確かで、常に可能性を求める姿勢が新たな作品を新たな世界観へと連れて行くことが出来るのかと感じています。

激しい変化に対して柔軟であることを前提とした哲学の上での話になりますが、ある一定の使用方法・考え方というものはこのPasseqにも以前から持ち合わせていました。特に低音のカットやサブ的な意味合いでのブースト、またEDMでは何もかもが素晴らしいとは感じていましたが、少し空き時間に試してみたM/Sモードでの使用が素晴らしいものがあります。ボーカルのサウンドイメージを変えられるというのは想像できるでしょうか?あくまで一定の幅の中で勝負するのがボーカルですし、また低音のキックやベースもPultec EQなどでブーストやカットはできても、音像まで弄ることは中々想像できないものです。それが一定の考え方でPasseqを触ると、一気に楽曲の奥底まで触ることが出来るということを最近発見しました。

このPasseq、単体で音を突く上げて行くというよりは、組み合わせの中に上手く挟み込んでいくようなイメージで使うことが多く、幾つものチェインの中で上手く使うと信じられないような効果を発揮してくれます。

この仕事は、常に変化を感じ、更にはその変化を自ら発見し積極的に投入していけると、世界の中での競争に対しても面白みを見出せると考えています。

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