SPLが新たなM/Sプロセッサーを発表しました。写真上から二番目の1Uの機材ですが、正に天才的な発想に満ちたプロセッサーと言えるかと思います。
この機材自体の存在は一昨年の年末に聞かされており、プロモーションのビデオも見せられていたのですが、それを更に進化させて天才的とも言うべき発想でM/Sのプロセスを進化させてきました。
上記のチャート図は、一体何を意味しているのか・・・理解が難しいところもありますが、何とこのプロセッサーを用いることで同じくSPLがリリースしたHelmesと組み合わせ、どの機材とも自由にM/Sのプロセスを組ませることができるというものです。Helmesには8系統のシグナルフローが備えられているので、実質上は8台の機材をコントロール可能です。そして、このGeminiを以下のような接続方法とることで、1対1のM/Sプロセッシングではない、無限のルーティングを可能とするシステムを構築できるとのこです。
この系統図によると、Geminiは2台分のシグナルフローを用い、他6台分のシグナルをHelmesで自在に入れ替えることで、Gemini以外の全ての機材をどういう形でもM/Sプロセッシング上にマウントしてしまうという、とてつもない機材です。このフローをプラグインで行おうとしても、相当に複雑になるルーティングは否めませんが、これをハードギアで実現したというとてつもない発想力が土台となって作り上げられた機材です。例えば、このGeminiとHelmesを組み合わせて使用した場合、1ch目のGeminiでM/Sエンコードが行われ、その後の3chのEQでM/SにてEQ処理した後に、2ch目にインサートされているGeminiでデコードしステレオ出力に戻し、その後のプロセスに入るということができるかと思えば、3chから後の4,5,6,7,8chまでの全てのEQやコンプレッサーを含めてM/Sのエンコード内で音作りをすることも可能です。若しくは、これが中間部の4ch,5ch、或いは6ch,8chをM/S処理し、その後にデコードするということもSPLのHPから読む限りは理論上可能です。
これと似た考え方のM/Sプロセッサーは以前もSPLから発売されており、今回の新たなリリースで一体何が一線を画すのかを楽しみに待っていましたが、まさかこうした無限ルーティングを可能にする機材を作り上げてくるというのは、こちらの想像を遥かに超えていました。Elleptical FilterやWidthでステレオイメージをコントロールできるといった、Maselecが取り入れたコントロールとは全く異次元のもので、その上120vが織り成す音質ということも考えれば、そのアドバンテージというものは計り知れないものがあります。
事前で理屈をこねくり回すのはこの辺りにして、後は実際に導入してその機能というものを堪能したく思っています。春先にはSPLのコンソール全体を導入予定で、4月にはSPL本社に再度行く話し合いをしています。SPLは更にDAC(DAコンバーター)もリリースを発表しており、恐らくは今月のNAMMショーで全容が明かされるかと思いますので、その思想というものに触れることが出来ます。ここまでアグレッシブなアップデートを繰り返すSPL社と、エンドーサー契約を持っているのは何にも勝るアドバンテージであると再確認させられます。
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