本日のご来客で、当社が非常に珍しいピアノ販売会社であるというお話になりました。 スタジオ運営をしているとか、音源制作を行っているとか、しかもそれが海外からの受注を中心としていることなどが上げられていましたが、私たちが最も大切にしているのは、音楽制作会社という立場にあり、その経験値とフィードバックから得られるノウハウを用いて、ピアノを選定し販売への手順を踏むということに意味を持っていると考えています。通常のピアノ販売会社と言えば、音大のピアノ課を出ているスタッフが居て、彼女たちが試弾やアドバイスをくれるというものでしょうが、それはあくまで音大出というアプローチに留まっています。 私たちが行っているピアノへのアプローチとは、世界のプロフェッショナルたちと共に音楽を作り、真剣勝負の中でレコーディングを繰り返すシビア極まる世界からのアドバイスであり選定です。例えばフランスから受注したピアノトラックレコーディングと、ミキシング・マスタリングそして納品のプロセスを追ってみましょう。 近年の音楽制作の多くは、殆どがオンラインでやり取りされることが多く、作曲家や編曲家、プロデューサーと顔を合わせないままに行なわれることが多々あります。フランスからの仕事も正にそうしたプロセスにのっとっており、ポーンとオリビエという作曲家・プロデューサー・ピアニストからメールが来て、 『フランスのテレビドキュメンタリー向けに楽曲を制作したので、グランドピアノのレコーディングとミキシング・マスタリングを行い、納品して欲しい。』 との要望が来ました。音楽の本場ヨーロッパからの受注というのは不思議かもしれませんが、これまでの実績や業界内での地位があると普通に受注することが出来ます。そういう意味では、日本国内以上に国境を感じさせないのが欧米の音楽制作です。 そして先方からProToolsという楽曲制作ソフトで非常にクォリティの高い音源が送られてきて、電子ピアノの音源を当社のスタジオで、プロのピアニストの手によりフルコンサートピアノの音源に差し替え、ミキシング・マスタリングして納品するという作業を、約3日間で終えました。 こうした一連の仕事の流れには、勿論ピアノ調律というプロセスが含まれており、ヨーロッパに納品される最高峰の音源を収録するというプロセスも含まれています。ですから、通常ピアノ販売会社で行なわれる、ピアノの選定や調律という作業自体は、私たちにとって全業務のうちの一部でしかありません。それほどに最終地点である音楽の感性を見据え、それが常に最高峰の場でセンスや美的感覚が試される環境に置かれることで、非常に広い視野からピアノに対してアクセスすることを強く求められます。楽器としてのピアノのみに意識が集中してしまうのではなく、広く音楽からそしてその音楽が非常に求められることの多い場でのノウハウは、決してピアノ業界のみを見ていては身に付かないセンスであり、ハイレベルな環境と言えます。 そして、そのフランスに納品した音源のピアニストは当社の代表であり、そのピアノを選定したのは私でもあります。こうした分厚い欧米で繰り広げられる音楽体験というものが、当社のピアノであり、また皆様に特別な存在としてご指示頂ける所以ではないかと考えております。 今後も更に、音の世界を深く追求して行きたいと考えております。
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