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執筆者の写真Furuya Hirotoshi

物凄い勢いで変化を遂げる世界のマスタリング

世界のトレンドというものの最前線で仕事をすると、その変化のスピードというものを肌身で感じることが出来ます。ついこの間までは、ミキシングでもある程度色気というものを音色に持たせていたものが、最近送られてくるファイルを聞いていると、むしろ色付けは全てマスタリングでして欲しいと言わんばかりのものが大多数と言えます。ラフミックなのかな・・・と思えるほどにミキシングは味気なく、殆ど音色感というものが感じられません。こちらでミキシングも担当する話し合いになった折、アーティストにOKを取ろうと確認ファイルを送付したところ、NGが出るのは殆どこちら側がミキシングで色気を出して、様々に着色した折に跳ね返されることが多くなっています。

これは国内の多くのエンジニアさんたちにとってヒントになればと思うのですが、世界で制作されている音楽の大半は、その殆どが絶対的にマスタリングありきでミキシングを行っており、マスタリングの可能性を広げるために、マスタリングを邪魔しないミキシングに徹していることが殆どです。グラミー賞をとったBobや、ポール・マッカートニーのミキシングエンジニアで著名なMartinからのファイルも、完全にマスタリングを意識してミキシングされており、それほどに完全なるマスタリングを求めて来るとも言えます。

さらに加速度的に、最近送られてくる音源は特に色も味も何もなくなってきており、真平らとも思える音源ですが、いざマスタリグの過程に入ると急に光を輝く楽曲へと変貌します。

いやいや、世界のトレンドの変化のスピードというのはすごいです。マスタリングで何ができるかが明確化されている、いえむしろより明確化されたからこそ、完全な分業として成り立つようになったのかと思います。この辺りの切り分けと理解が早いと、世界のトレンドの中で先頭を走ることが出来ます。

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