当方のスタジオでは、ミキシングのサブミックスマスターにも、マスタリング・グレードのコンプレッサーやEQを多くインストールしてあります。マスタリングはご存じの通り、SPLとBettermakerも含め、フルで稼働できる仕組みを持っていますが、今回はIGS Audioのマスタリングコンプレッサーやバンドコンプレッサーも、ミキシングとマスタリングを行き来できるようにフルパッチ仕様となります。こうなると、マスタリング機材だけでコンソールを中心に20台くらいの機材を行き来できる状況になり、流石にカオスの状態になるかと思いきや、意外や意外見事に使い分けができます。これは楽曲を求める方向性に持って行こうとしたときに、機材との相性という問題が発生して、どうにも求めるものへと行き付かないことがあります。そういう折に、それぞれの機材がそれぞれの得意分野での役割を果たすという構図が出来上がります。
例えば、M/Sモードを持ち合わせているelysia alpha compressorとIGS Audio Tubecoreとでは、同じM/S機材であっても全く別物のサウンドテイストで仕上げることが出来ます。タイトでソリッドなサウンドで低音を作るのであれば alpha compressor、しなやかで濃厚かつ強力な低音を求めるのであればIGSといった具合に、正に使い分けという定義でこそできるサウンドというものがあります。また、IGS AuidoのTubecoreは、ドラムトラックのバスコンプレッサーとして用いており、これがマスタリングコンソール内に行き来できるとなると、想像以上の効果がありました。
何しろSPLのマスタリングコンソールは、周囲から機材がインストールされると、それまで持っていた単体での機材の性能と全く異なるテイストで鳴らすことが出来ます。これは本当に強みの一つですし、わざわざパッチ版を弄るところまでの動機ともなりました。額面的にもDsubケーブルが2本で済んでしまった作業の割には、効果は正に絶大といった感があります。
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