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執筆者の写真Furuya Hirotoshi

マスタリングにおける音の聴きどころ

マスタリング機材

今日は国内の曲をマスタリングしました。機材は現在ライブに出てしまっているので、右半分だけの機材を用いていますが、元々これらが主戦力だったので十分です。またマスタリング勉強会の音源を確認し、アシスタントたちの音源にアドバイスも含めて僕の方でリマスタリングしたプロセスの中で、多くのことを感じることができました。

最近は海外でのレコーディングも含め、プロデューサーが欧米人という制作も多い中、確かにサウンドの方向性というものは以前に比べると洋楽の音源に近づいてきた感もあります。シンセサイザーの用い方や、効果音、ドラムのサウンドの在り方などは、大きくその影響というものを感じます。しかし、そこから先に如何に音源としての価値を高め、細部に渡り楽曲のディテイルを説明付けるマスタリングができるかで、大きく完成度というものが左右されるのかと思います。

端的に言えば、ミキシング後の音源というものは可能性のみを残し、マスタリングエンジニアに楽曲が渡されます。世界観を含めた方向性は示されていますが、どのように音楽性を印象づけるのかはマスタリングが何と言っても決め手となります。今日感じた国内の楽曲は、海外レコーディングが行われ、シンセサイザーのプログラミングを含め、全体の音楽制作の進行を欧米人が務めたと思われるものでした。しかし、ここまで海外で音の制作を行ったとしても、どうしても欧米の音になりきれないのは、最終的に音を感じ取る価値観に起因してしまうのではないかと思えてしまいます。実際、僕の場合は欧米からの仕事をこなすことが多いので、慣れている音楽制作と言えば欧米のエンジニアが作り上げたサウンドで、彼らの音源を受け取るとよりスムースに仕事をこなすことができるのは確かです。その視点からすると、本日触った音源というものがどうしても国内ならではの何かを感じざるを得ませんでした。その現象というものを端的に説明すると、レンジを広げようとしたり、低音の豊かさをPlutec EQなどで持ち上げようとしても、どうにも上がってこないことがあったり、裏メロで多くの表現を行っているにもかかわらず、そのサウンドが殆ど聴こえてきていないケースが多いということです。

僕が日頃経験する仕事では、レンジを広げると共に楽曲の各楽器のディテイルを細かく表現することを求められます。これは非常に重要なことで、作曲者や編曲者の意思をよく汲み取った状態というものを、如何にマスタリングやミキシングで表現していけるかということにもなります。この辺りの認識を組み立て直すことで、国内もグローバル基準に沿う形で音楽制作が行われるようになるのかと思いました。

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