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執筆者の写真Furuya Hirotoshi

マスタリングにおいて、求められる国内と海外の音質の違い

マスタリング・イコライザー

ここ最近は、当サイトのおかげもありまして、マスタリングにおいては国内の仕事もずいぶんと増えてきました。それに伴い、自分の中で国内外で使い分けている音作りというものも発生してきましたので、少しその辺りについて触れてみたいと思います。 先ず顕著に感じるのは、低音の扱い方かと思います。欧米では、相当強力な低音が鳴っていても、きれいに整えられた音源であるならば、それを良しとすることが大半です。しかし国内の仕事においては、所謂カットする勢いでないとOKが取れないシーンに遭遇することが多々あります。これは価値観の違いであり、どちらが優勢ということでもなく、その場その場で対応することが良いと感じています。ただ低音は音源内の60%もの成分を占める要素ですから、この帯域での扱いで音楽の印象はガラリと変わります。 他にはステレオイメージの違いも大きいかと思います。簡単に言えば海外は広め、国内は狭く取る傾向にあります。これも楽曲によって異なるのですが、ヒップホップやロックのジャンルでもステレオイメージは、全体的にそれなりのボリュームを求められるのが欧米というイメージです。恐らくは、クラシック音楽や教会音楽が身近な彼らからすると、響きの捉え方やダイナミックレンジの聴き方が違うのではないかと考えています。 その他、考え方や方向性というものにおいても、全く異なる趣旨での要求というものは有るのですが、エンジニア・プロデューサーとしては臨機応変というものが、最も最適なポジションではないかと思っています。例えば、クライアントから出される要望として、中高音部は欧米の味付けで、低音付近は国内の方向性に準拠するなどの音作りも、自分ならではの味付けではないかと思います。本格的に国内外の仕事をこなすことで、新たに見えてくることも多々あり、その要望の違いというものを肌身で感じることで、面白みもぐっと増すものがあります。

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